展覧会レビュー エル・グレコ展 その2

東京都美術館で開催中のエル・グレコ展の展示作品の中で私的に気になった作品をピックアップしながら、展覧会の見どころをお話していきたいと思います。ご存知の通り、エル・グレコの本名は、ドメニコス・テオトコプーロス(1541-1614)。ギリシア人なので画家として活躍していたスペインでは、「エル・グレコ(ギリシア人)」と呼ばれていました。ギリシア人とはいっても、ヴェネチア共和国統治下のギリシア・クレタ島出身で、イタリアへ渡った後、スペインのトレドで画家として活躍します。ヴェエネチア共和国統治下のクレタ島出身というのが、個人的に興味があります。

今回の展覧会の注目作品といえば、まずは、今回のエル・グレコ展のポスターにも使用されている『無原罪のお宿り』(1607-13年)ですよね。この作品は、エル・グレコ晩年の作品の中でも傑作の1つとされています。この『無原罪のお宿り』という題名を聞きなれているとすれば、かなりのスペイン美術通の方なのではないでしょうか?
 
キリスト教の教義で「原罪」とは、人間全員が生まれながらにして持っている罪のことを意味します。聖書では、人間の祖先であるアダムとイブが犯した原罪を人類は受け継いでいると説いています。一方で、イエス・キリストの母である聖母マリアは、その聖なる存在ゆえ、母アンナの身体に宿った時から、罪がない(無原罪)人間と考えられました。簡単にいえば、無原罪の聖母マリアが母アンナの身体に宿ったので『無原罪のお宿り』というわけです。
 
この『無原罪のお宿り』という教義(あるいはテーマ)は、キリスト教の宗派の中でも、特に17世紀初頭のスペインで支持されていました。当時のスペインでは、エル・グレコ以外の作家(例:ムリーリョ)も同テーマを描いています。この作品から、17世紀スペインの宗教事情まで理解することが出来ます。また、この作品を通して美術史的視点からキリスト教図像学や「マニエリスム」を考察する事も出来ます。深いです。キリスト教図像学については、同展覧会のジュニアガイドが素晴らしいので、そちらにお任せしようかな。
 
さて、マニエリスムとは?美術史上、エル・グレコが生きた時代と当時の様式をマニエリスムと呼んでいます。次回は、エル・グレコとマニエリスムについてお話します。
 
では、今日はこの辺で。
 

エル・グレコ展
会期 2013年1月19日(土)~ 4月7日(日)
会場 東京都美術館企画展示室(東京都台東区上野公園8-36)
開室時間 9:30~17:30(金曜は20:00)
入室は閉室30分前まで 
閉室日 月曜日

展覧会関連サイト
エル・グレコ展公式ページ
http://www.el-greco.jp/index.html