展覧会レビュー エル・グレコ展 その3

先週は、花粉症と風邪でダウンしました。。すみません。

前回の続きです。

美術史では、エル・グレコが活躍した時代と当時の美術の様式を「マニエリスム」と呼びます。彼らの「先輩」であるイタリア・ルネサンス全盛期の画家達(ラファエロやミケランジェロなど)が古典的な調和を芸術の中で表現しようとしたとすれば、マニエリスムの画家達は、そこから一歩前進した表現を試みました。例えば、マニエリスムの画家達は、盛期ルネサンスの画家達が完成させた遠近法や均整のとれた構図(肉体表現も含め)を無視した表現方法を模索していました。この傾向は、イタリアから始まり、16世紀にはヨーロッパに広がっていきます。

前回お話したエル・グレコの『無原罪のお宿り』は、マニエリスムの例の一つです。画面上部に描かれている聖母マリアの身体は、下へ「異様」に伸びています。また、下部に描かれている天使の黄金の衣から出た足は、どうみても「不自然」な形です。バランスが悪い。つまり、盛期ルネサンスの絵画の理想である「自然」や「調和」は、エル・グレコの『無原罪のお宿り』の中では、全く重要ではないですね。神の象徴である鳩が存在する天界へ向かって作品全体が上昇していくようなエネルギーの流れが、芸術(特に古典美術)はこうあるべきだという既成概念を吹き飛ばしてしまっているようです。

確かに彼の作品が神秘主義あるいはスピリチュアル系と言われるのも、このような超自然的な表現が要因かもしれません。ただ、同展覧会で彼の他の作品をみていると、エル・グレコの芸術のルーツは、彼の祖国ギリシアと関係しているのではないかと思えてきました。次回は、このあたりをお話します。

では、今日はこの辺で。

エル・グレコ展
会期 2013年1月19日(土)~ 4月7日(日)
会場 東京都美術館企画展示室(東京都台東区上野公園8-36)
開室時間 9:30~17:30(金曜は20:00)
入室は閉室30分前まで 
閉室日 月曜日

展覧会関連サイト
エル・グレコ展公式ページ
http://www.el-greco.jp/index.html