山口晃展 そごう美術館 展覧会レビュー

先日、そごう美術館で開催されている「山口晃展」へ行ってきました。副題が「付(つけた)り澱(おり)エンナーレ老若男女ご覧あれ」。なお括弧内の振り仮名は、当方がご参考までに付け足しました。お恥ずかしながら、私には読めないです。それにしても難しい漢字が多かった。

山口晃氏といえば、集英社の雑誌『SPUR』(2013年5月号、p.413)に山口氏の「ワンだふるアートワールド」というコーナーがありまして、第二回目の「柴乙女ポチと画家・山口晃さんが行く『東京国立博物館』」が最近では面白かったです。同3月号の第一回目は『会田誠展』を柴犬の女の子ポチが1匹で行くという話で、これも良かった。隔月でもよいからシリーズ化してほしいです。同展覧会では、その柴乙女ポチと山口画伯が立っている愛らしいイラストと手書きの「ご挨拶」が迎えてくれます。これをみて可愛い展覧会だなあと思ったのは最初だけ。内容は、とんでもなく奇想天外かつ摩訶不思議な山口晃ワールドな展覧会でした。

油画専攻であるのに日本を題材にした日本画と思わせるような作風。実際、キャンバスに油、水彩、墨を使用した作品もありました。また、ひたすらに細かく正確な描写をしたリモコンとそのリモコンが想像上の宇宙船に変化した図が並んでいる。日本画らしき作品に描かれている馬はよくみるとマシーン。同じ空間では人間と機械の子供が各々お茶を運んでいる。江戸時代の人と現代の人が肩をよせあって笑っている。和と洋、東と西、自然と人工、過去と未来、上下も左右もなく、全て山口晃軸で存在する世界が彼の作品の中に描かれてます。

会場に入ると、まず日本人の誰もが知っている『伝源頼朝図』(京都神護寺所蔵)を模写した『頼朝像図版写し』(1999年)が展示されています。この作品で、圧倒的な観察力とその表現力を我々に見せつけます。また、山口氏はマガジンハウス社の雑誌『Brutus』の美術モノのテーマの時にも、よく登場するのですが、同展覧会に出品されていた『千躰佛造立乃圖』(2009年)は、以前『Brutus』に掲載されていた作品(2009年4月15日号、pp. 38-39)と同じものなのかしら。他にも五木 寛之作(新聞小説)『親鸞」の挿絵、ドナルド・キーン作『私と20世紀のクロニクル』の挿画も多数展示されていました。面白おかしく真面目に歴史や美術を我々に伝える力は、さすがです。その力は、技術や表現力以外に文化を解釈する鋭い分析力があるからではないかと思いました。分析と観察の能力は互いに関連しているような気がします。それらをベースにして遊んでいるから面白い。一方、澁澤龍彦作『菊燈台』の絵では、アーティストとして思いっきり別な顔を我々に見せます。ここまでくると既存の価値観とかどうでもよくなってきます。同展覧会を通して、「自由自在」とは、まさに彼のためにあるような気がしました。最後に、気になる「澱エンナーレ」については、来てのお楽しみということにしておきましょう。

では、今日はこの辺で。

山口晃展 
~付り澱エンナーレ老若男女ご覧あれ~ 
会 期 2013年4月20日(土)- 5月19日(日)
会 場 そごう美術館 そごう横浜店 6階
開催時間 午前10時ー午後8時 (入場は閉館の30分前まで)
※そごう横浜店の営業時間に準ずる。  
休館日 会期中は無休

展覧会関連サイト
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/13/0420_yamaguchi/index.html