ラファエロ展 国立西洋美術館 展覧会レビュー

出雲の続きをお話する前に、国立西洋美術館で開催中の「ラファエロ」展、終わってしまいましたね。

本来であれば、展覧会開催中にレビューをアップして、参考にしていただけるといいなというのが、このサイトの一つの目的(あるいは目標)なのですが、今回はスケジュール上無理でした。最近の展覧会は、そのまま他の美術館に場所を移すという事もあるのですが、この展覧会は、国立西洋美術館のみの開催でした。残念。しかし、まだ記憶に新しいと思うので、少し感想をお話してみたいと思います。
 
ラファエロ・サンティ(1483年-1520年)は、誰もが認めるイタリア・ルネサンスの巨匠です。ルネサンスの時代が終わっても、ラファエロを手本とした画家達の数は知れず。悪く言えば、「間違いない構図」がラファエロの特徴の一つとも言えるのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロと同じ時代を生きた天才には間違いありません。そのラファエロの作品が日本に23点集まるという事自体が、すでに奇跡のようなものなのですが、その質はいかに?となると実際に展覧会へ行ってみなければわかりません。結論から言えば「よくぞ、これだけ集めた」と思いました。保険とか運送料とかも莫大でしょうし。。聞きなれたキャッチコピーですけれどもやはり「奇跡の展覧会」ですね。
 
前にお話しましたが、エル・グレコが自らの芸術論に関するメモ書きを残した本がジョルジョ・ヴァザーリ著『芸術家列伝』でした。その本のラファエロの章の書き出しが以下の通りです。
 
普通ならば、長い時期にわたって、天が多くの人々にわかち授けるであろう世にも稀な才能やもろもろの美質や限りない宝の数々を、天は時に1人の人間に存分に惜しみなく授けることがある。(*1)
 
その実例の1人がラファエロだとヴァザーリは続けます。天才はエキセントリックな一面がありがちなのですが、ラファエロは温厚で優等生タイプの「天才」だったようです。同展覧会で最初に展示されている『自画像』(1504~1506年)は、物静かで温厚で品のよい青年が我々を見つめています。確かに彼の人柄をよく表現しています。制作年代から21歳頃と考えられるラファエロが我々を見つめています。制作年代からラファエロ21歳頃の作品です。間近で見ると文章では表現出来ないラファエロの「天才ぶり」が色使いやタッチから伝わってきます。展覧会で名品を見る時、私的楽しみの一つに額縁があるのですが、この『自画像』の額縁が実に素晴らしかった。
 
他にも気なった作品は、幾つかあったのですが、彼が描くピンクやブルーは、まさにルネサンスの色でした。これが日本で間近で鑑賞出来る事は有り難かった。しかし、やはり展覧会中にレビューをしないと意味ないなあ。再び反省。
 
今年は、現在開催中の東京都美術館のレオナルド展(6月30日まで)と9月には国立西洋美術館でミケランジェロ展があります。ラファエロ、レオナルド、ミケランジェロという、ルネサンス時代の三大アーティストが上野に集まるというのも、これもまた「奇跡」です。ラファエロ展は、終了してしまいましたが、ヴァザーリの『芸術家列伝』を読んでから、残りの2つの展覧会を鑑賞するというのもありかと思います。
 
では、今日はこの辺で。
 
 *1 ジョルジョ・ヴァザーリ,『ルネサンス画人伝』平川祐弘・小谷 年司・田中 英道訳, 白水社, 1997, p. 165.
 

ラファエロ展
会場  国立西洋美術館
会期  2013年3月2日(土)~6月2日(日)
(現在終了)