プーシキン美術館展 横浜美術館 私的注目作品 その4

現在、横浜美術館で開催中のプーシキン美術館展で個人的に気になった「私的注目作品 その4」です。

(出品作品リストの最終章である)第4章「20世紀ーフォーヴィスム、キュビスム、エコール・ド・パリ」の展示作品の中では、パブロ・ピカソ(1881−1973)の《マジョルカ島の女》(1905)が印象的でした。美術史的にピカソというと「キュビスム」という言葉を連想します。

キュビスムというのは、それまでの西洋美術が理想とした「古典主義」や「自然主義」(同展覧会出品作品リスト第2章にあるような作品群)の価値観を根底から揺るがす新しい形の美術表現です。ピカソは、ジョルジュ・ブラック(1882-1963)と共にキュビスムの創始者でした。彼らは、物を解体して、往来の遠近法とは別の空間の中で、様々な角度から面を表現しようとしました。難解といえば、聞こえは良いですが、鑑賞者が作品を理解するために努力を要するような作品が多いです。

さて、ピカソは、膨大な作品を残しましたが、彼の美の表現の移り変わりも激しく、彼の作品群は、「〜の時代」といったように作風と年代で分けることが出来ます。彼がキュビスムを始めたのが、1907年頃だと言われていますので、同展覧会の《マジョルカ島の女》は、それ以前の「青の時代」(1901-1904)と「バラ色の時代」(1904-1906)の移り変わりの時期の作品と考えられています(*1)

「青の時代」のピカソの作品は、画面が憂鬱な気分で覆われているのような表現が多いのですが、この《マジョルカ島の女》は、「バラ色の時代」に移行する途中というだけあって、柔らかな雰囲気がします。ピカソは、スペイン生まれですが、1900年にパリに移り住んでいるので、今回の作品も確かに「フランス絵画300年」の中の一作品になるのでしょうね。

この作品は、モスクワの富豪セルゲイ・シチューキンが購入したそうですが、当時のパリで、それほど高く評価されていなかったピカソ等の「斬新な」作品群をシチューキン自身の直感で購入していたというのですから素晴らしいですね(*2)。同展覧会の中では、いわゆる「静かな作品」の《マジョルカ島の女》なのですが、不思議ともう一度観たいと思わせる作品です。シチューキンもそう思ったのでしょうか。

では、今日はこの辺で。

*1 展覧会公式サイト 『プーシキン美術館展 フランス絵画300年』〈http://pushkin2013.com/intro/〉(アクセス日 2013年8月9日).
*2 『朝日新聞』 2013年6月12日, 20-21頁.

プーシキン美術館展 フランス絵画300年
公式サイト
http://pushkin2013.com

プーシキン美術館展 フランス絵画300年
会場 横浜美術館
会期 2013年7月6日(土)~9月16日(月・祝)
開館時間 10:00~18:00
(8月、9月の金曜日は20:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日 木曜日(ただし8月1日、15日は開館)

会場 神戸市立博物館
会期 2013年9月28日(土)~12月8日(日)
開館時間     9:30~17:30
(土曜・日曜は19:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日     月曜日
(ただし10月14日(月・祝)と11月4日(月・休)は開館、10月15日(火)と11月5日(火)は休館)