「ミケランジェロ展―天才の軌跡」国立西洋美術館 個人的に好きな作品は。。

前回の続きです。

今回は、現在国立西洋美術館で開催中の「ミケランジェロ展―天才の軌跡」の出品作品の中で個人的に一番好きな《レダの頭部習作》(1530年頃制作)についてお話します(この作品は同展覧会の公式ホームページで見ることが出来ます)。

この作品は、ミケランジェロがテンペラ画《レダと白鳥》を描くために書かれた素描と考えられています。レダは、ギリシア神話の中で全能の神ゼウスに愛された女性の1人です。とにかくゼウスは、様々な手段を使って意中の女性達に近づくのですが、レダの場合は、白鳥の姿に変身しています。裸体のレダが白鳥の姿のゼウスと一緒に描かれている構図は、ルネサンス時代以降、多くの画家によって描かれてきました。意味深なテーマながら、人気があったようです。ミケランジェロが描いた《レダと白鳥》は、現存していませんが、同展覧会の《レダの頭部習作》の素描から、その完成度を想像することが出来ます。ヴァザーリも、このミケランジェロの《レダと白鳥》のエピソードについて、彼の著書『芸術家列伝』の中で言及しています(ヴァザーリ, 1997, 261-262頁)。

話は飛びますが、個人的に西洋美術史上、最も美しい横顔は、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井に描いた《アダムの創造》のアダムの横顔です(と勝手に考えています)。今回の《レダの頭部習作》をみていると、どうも《アダムの創造》のアダムの横顔が頭に浮かんできます。同展覧会でも、《アダムの創造》を含めたシスティーナ礼拝堂の壁画が会場の映像等で、紹介されていますので、興味のある方は比較してみてくださいね。

興味深いことに、同展覧会の解説によると、ミケランジェロは、自分の男性の弟子を用いて《レダの頭部習作》のレダ(女性)の頭部をデッサンをしたそうです。前述の《アダムの創造》のアダムとレダのモデルは同じ弟子だったのでしょうか。よくみると、アダムとレダは似ているような似ていないような。どちらにしても、美しい弟子がモデルだったのでしょうね。。

今回、《レダの頭部習作》を通して、「ミケランジェロの弟子の横顔」を見た後、《アダムの創造》を鑑賞するとアダムが生き生きと見えてきます。ひとつのイメージの誕生というものは、(ルネサンス時代の)アーティストにとって、天から降りてきたものかもしれません。一方で、ヴァザーリいわく「神のごとき手」によって創造されたミケランジェロの作品も、その背景には必ず人間がいるという現実を《レダの頭部習作》から教えられたような気もしました。

というわけで、同展覧会は、ミケランジェロという人物に少し近づけたような展覧会でした。

では、今日はこの辺で。

参考文献
Vasari, Giorgio. 1997.『ルネサンス画人伝』(平川祐弘・小谷 年司・田中 英道訳) 東京:白水社.
展覧会公式サイト 『システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展―天才の軌跡 』〈http://www.tbs.co.jp/michelangelo2013/art/〉(アクセス日 2013年9月20日).

システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展―天才の軌跡
会場: 国立西洋美術館
会期: 2013年9月6日(金) ~ 11月17日(日)
開館時間: 午前9時30分 ~ 午後5時30分(金曜日及び11月2日・11月3日は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日(ただし、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館、翌火曜日は休館)※開催日時は変更となる場合があり。