第17回文化庁メディア芸術祭 アート部門受賞者プレゼンテーションに参加して思ったこと

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第17回文化庁メディア芸術祭 アート部門 大賞 『crt mgn』 Carsten NICOLAI. 
©2013 Carsten Nicolai. All rights reserved. Photo: Uwe Walter Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery.

 

前回の続きです。
 
毎年、文化庁メディア芸術祭では、受賞作品展の期間中数多くのイベントを開催するのですが、その中でも私がなるべく行くようにしているイベントの一つが、「受賞者プレゼンテーション」です。アーティストが自分の作品を自らプレゼンするという機会は、彼らにとっても、(その作品の鑑賞者である)我々にとっても滅多にない機会だと思います。それこそ、アーティストの「生の声」を聞けるのですし、質疑応答の時間もありますから、作品を理解するためには、贅沢すぎるほどのベストな方法です。
 
先日、第17回文化庁メディア芸術祭アート部門で大賞を受賞した『crt mgn』の作者Carsten Nicolai氏と、同じくアート部門で優秀賞を受賞した『  を超える為の余白』の作者三原 聡一郎氏の受賞者プレゼンテーション、題して「アートがもたらす世界の捉え方 01〜アートから、世界を知覚化する」へ行ってきました。今回のプレゼンテーションの際、モデレーターの岡部あおみ氏と出演者の高谷史郎氏(共に審査委員)から提示されたキーセンテンスが「今まで見えなかったものを見えるようにする」(公式サイトから抜粋)でした。まあ、「見えるようにする」ですから「視覚化」という言葉も何度も使われていました。見えない対象物は、Carsten Nicolai氏の場合は電磁波、三原 聡一郎氏の場合は「(3.11後の)モヤモヤ感」(三原氏のプレゼンより)。どちらも目には見えません。それを視覚化したものが前者は『crt mgn』、後者『  を超える為の余白』の作品というわけですね。
 
『crt mgn』の場合、電磁波を視覚化しているだけでなく、音としても表現(聴覚化)しているので、我々は目に見えない電磁波を目と耳から体感することが出来ます。上の画像は『crt mgn』です(*)。重厚な音と振動、モニターに映る光の線の波、これらの表現によって電磁波を身体で感じる事が不思議と荘厳な感じがしました。『  を超える為の余白』は、「モヤモヤ感」を泡で表現しているのですが、泡を近くで見ると泡に見えない。何かわけのわからないものに見えてくる。その「わけのわからない」感じが三原氏の狙いだとういことが、本人のプレゼンテーションを聞いていて、よく理解出来ました。
 
美術史的な視点で一つ思ったのは、「目に見えなかったものを見えるようにする」という行為は、宗教美術作品&建築を創造する意図の一つです。つまり、「信仰」や「聖なるもの」は、見えないものですから、それを視覚化するのが宗教美術です。ですから対象物は時代と共に変わりますけれども、アーティストの創造力を動かす「何か」は変わらないように思いました。アートは深いですね。
 
では、今日はこの辺で。
 
*画像は、第17回文化庁メディア芸術祭事務局より使用許可を得ています。
 

第17回文化庁メディア芸術祭
会期:2014年2月5日(水)~2月16日(日)
メイン会場:国立新美術館
開館時間:10:00 ~ 18:00(金曜は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
入場無料
サテライト会場:東京ミッドタウン、シネマート六本木、スーパー・デラックス

イベント等の詳細は、以下の公式サイトを参照。
第17回文化庁メディア芸術祭
公式サイト
http://j-mediaarts.jp/