バスティアン・ヴィヴェスの『塩素の味』はフランスの味がする

少し前の話になりますが、今月9日、第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞を受賞したバスティアン・ヴィヴェス氏の受賞者プレゼンテーションへ行ってきました。すがやみつる氏(審査委員)の解説で、マンガを描く方法も最近変化してきたことがよくわかりました。今は、紙の上ではなく、画面(タブレット等)の上で作業をしていくのですねえ。

すがや氏とモデレーターの斎藤宣彦氏(審査委員)も大絶賛のヴィヴェス氏の『塩素の味』ですが、2013年に小学館集英社プロダクションより翻訳版がすでに出版されています。そしてフランスのバンド・デシネ界でも彼の作品は、非常に高く評価されていまして、最新作『ポリーナ』は、フランスのBD書店賞とACBD批評グランプリを受賞(同書の解説より)しています(翻訳版が同じく小学館集英社プロダクションより出版済み)。

今回の受賞者プレゼンテーションでは、ヴィヴェス氏が秋葉原へ買い物へ行った時の様子を、即興でタブレットに描いてくれたのですが、グレーの濃淡を巧みに使い、斎藤氏いわく「迷いがない」筆遣いが素晴らしかったです。斎藤氏の「どのように(その素晴らしい)デッサン力を習得したのか」という質問に対して、ヴィヴェス氏の答えが「アニメーションで『動き』をどのように描くのか学んだ時に習得したと思う」ということでした。美術学校でデッサンを学んだというような答えが出てくるのかと思ったので、意外でした。

『塩素の味』の主人公は、ヴィヴェス氏と共通点が少しあるということでしたが、本人は主人公のようにプールで女の子には出会わなかったそうです。フランス人のヴィヴェス氏ですが、礼儀正しくて秋葉原が好きそうなチャーミングな男子でした。ちなみに『塩素の味』の中で描かれているプールは、パリ5区の「とても素敵なプール」がモデルになっているそうですよ。

というわけで、最近マンガを読まなくなった私でも彼の作品は読みたくなりました。

では、今日はこの辺で。

参考文献

Vives, Bastien. 2013. 『塩素の味』( 原 正人訳)東京:小学館集英社プロダクション.
_____. 2014. 『ポリーナ』( 原 正人訳)東京:小学館集英社プロダクション.

 

第17回文化庁メディア芸術祭(すでに終了しました)。
公式サイト
http://j-mediaarts.jp/