アンディ・ウォーホル展:永遠の15分 森美術館 《カクテル・アワーの星占い》のウォーホルが好き

2014 04 25

現在、東京六本木の森美術館で開催中の「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」へ行ってきました。サブタイトルの「永遠の15分」は、ウォーホルが生前語っていた「将来、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」という言葉から由来しているそうです(同展覧会公式サイト『見どころ』より)。確かに、ウォーホルの名声を考えると彼のその「15分間」は永遠に続いています。

アンディ・ウォーホル(1928-1987)とえいば、昨年国立新美術館で開催された「アメリカン・ポップ・アート展」(会期2013年8月7日 -10月21日)の出品作品《200個のキャンベル・スープ缶》(1962)が記憶に新しいです。今回の展覧会では、「ミスター・ポップ・アート」(同展覧会公式サイト『展覧会について』より)としてウォーホルの作品史を観ることが出来る大規模な回顧展となっています。彼の代表作であるシルクスクリーンプリント(上の画像参照)はもちろんのこと、「タイムカプセル」と称して保存していた細々とした日用品や雑誌まで陳列してある部屋があり、とにかく出品数に圧倒されます。しかし作品数の割には全体構成がわかりやすく、ウォーホルのファンでもそうでなくても楽しめる内容となっています。

ここで、ポップ・アートについ再びおさらいしてみます。ポップ・アートの定義は、以前「アメリカン・ポップ・アート展」の感想でも引用した美術史家 E.H.ゴンブリッチの説明が一番わかりやすいと思います。彼によると「20世紀半ば「暮らしのなかに氾濫する『応用』美術や『商業』美術と、展覧会場や画廊に展示される難解な『純粋』美術のあいだの不幸な亀裂」(ゴンブリッチ, 2011, 460頁)を埋めるために「日頃親しんでいるマンガや広告からイメージを借りてくるだけで、アートを作ることができるんじゃないか」という発想から創作された芸術をポップ・アートと呼びます(ゴンブリッチ, 2011, 471−472頁)。今回引用した彼の名著「美術の物語」の中で、ゴンブリッチは、ウォーホルについては言及していないのですが、今回の展覧会でウォーホルの作品を観ているとゴンブリッチの「ポップ・アート」の定義がそのまま当てはまること理解出来ます。

1950年代に広告デザイナーとして活躍したウォーホルですが、1960年代にアーティストとして転身をはかります。その試みは見事成功するのですが、1970年代に「ビジネスアート」としてまた広告に興味を持つようになります。この流れが今回の展覧会でよくわかりました。

今回の展覧会で私が好きだった作品は、ウォーホルが描いた50年代の広告作品やイラストでした。とくに婦人靴の広告のためのイラストシリーズ(1955年)がとても巧いです。今の時代でも十分通用するセンスの良さです(マロノ・ブラニクあたりの靴の広告とか)。好みにもよるのでしょうが、60年代以降のアーティストとしてのウォーホルのシルクスクリーンプリントよりも、50年代の広告デザイナー時代の彼のイラストの方が断然好きです。それにしても、ウォーホルがガーリーな作品を描いていたとは知りませんでした。例えば《カクテル・アワーの星占い》(1961年)は、カクテル「アクエリアン・アロマティック」(和訳だと「水瓶座の甘い香り」ってとこでしょうか)の作り方がイラスト付で書かれています。このカクテルの最後の仕上げがガーデニア(くちなしの花)。白い花が浮かんでいてるグラスがラブリー。このイラストのように、たとえ社会性のあるメッセージがなくても、美しい作品は十分に芸術的だと思うのですが。。

また、今回はアメリカの伝説的アーティストの1人ジャン=ミシェル・バスキア(1960-1988)とのコラボレーション作品も出品されており、日本のバスキアファンにとっても嬉しい展覧会となっています。

では、今日はこの辺で。

 

アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
会  期:2014年2月1日(土)-5月6日(火・休)
会  場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00-22:00(火曜日のみ17:00まで)
会期中無休
※ただし4月29日(火・祝)、5月6日(火・休)は22:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで

参考文献

『アンディ・ウォーホル展:永遠の15分』公式サイトより「見どころ」を参照
 〈http://www.mori.art.museum/contents/andy_warhol/about/index.html〉(アクセス日 2014年4月25日)
『アンディ・ウォーホル展:永遠の15分』公式サイトより「展覧会について」を参照
〈 http://www.mori.art.museum/contents/andy_warhol/artists_works/index.html〉(アクセス日 2014年4月25日)
Gombrich, E.H. 2011.『美術の物語(ポケット版)』(田中正之・天野衛・大西広・奥野皐・桐山宣雄・長谷川宏・長谷川摂子・林道郎・宮腰直人訳)東京:ファイドン.