「キトラ古墳壁画」展 東京国立博物館 入場再チャレンジと鑑賞の心構え

2014 05 01 17 04 43

現在、東京国立博物館で開催中の「キトラ古墳壁画」展ですが、連日大混雑のようです(https://twitter.com/kitora2014参照)。前回は、待ちの行列の長さに「!」でしたので、今回は、「閉館一時間前の入場」を狙ってみました。待つこと30分くらいで本館の正面玄関より入館。すぐに同展示会場の入り口が見えました。そこには「音声ガイドは終了しました」。。少しでも楽するとこうなるのですね。

さて、1983年に奈良県の明日香村で発見されたキトラ古墳の制作年代は、飛鳥時代7世紀から8世紀頃、(同じ明日香村で発見された)高松塚古墳と同年代と考えられています(*1)。キトラ古墳内部は長方形の石室に天井は屋根形なっており、東西南北の壁に四神、各壁の下部に十二支、天井には天文図と日月のイメージが描かれていました。調査の結果、石室内の状態が壁画の保存に適していないため、全て取り外して石室外で修理保存されることになり、その結果、今回のように壁画部分だけ一般公開可能になりました(全壁画修理完了後、2016年に現地の国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区内で公開予定)。ちなみに、これらの壁画が明日香村から外へ出るのは、今回が初めてだそうです(*2)。

今回の展覧会では、四神のうち「朱雀」「白虎」「玄武」(「青龍」は今回は展示されず)と十二支のうち「子」「丑」の壁画が展示されています。会場内は、まずキトラ古墳の簡単な説明、陶板で造られたレプリカの壁画を通って、本物の壁画を鑑賞するという流れとなっています。壁画(本物)の近くになると蛇行した行列で再び待ちます(これが「入場→壁画までの待ち時間」という意味なのね)。

やっと壁画(本物)の前へ来ても、少しでも立ち止まれば「動きながら鑑賞してください」の声。これもまた「国宝 阿修羅展」(2009年3月31日~ 2009年6月7日)を思い出すフレーズ。どうにかならないのかな。30秒でも止まれないのかな。正直なところ、歩きながら「本物」を見るという行為に必死であまり壁画の印象がないのです。レプリカ(じっくりと鑑賞)→本物(さらっと鑑賞)という流れを狙った展示構成だったと思われますが、すでに遅し。じっくりレプリカの壁画でみたイメージを「本物」で確認する、という心構えで鑑賞に挑む方法がよろしいかもしれません。

キトラ古墳壁画は埋葬美術ですから、当時の死生観を表現したものと解釈することが自然と思われます。個人的に興味があったのが石室の天井に描かれた天文図(今回はレプリカ展示のみ)でした。この天文図、実によく出来ていまして、北極星を中心に金箔の星に朱色の線で星座(北斗七星など)や黄道が描かれています(*3)。古代ローマでは、このような天文図ではありませんが、ミトラ教の死生観を象徴するレリーフ(浮彫り)には黄道や星座がよく描かれました。ミトラ教だけでなく、古代ローマの諸宗教の信仰の根底には死後の救済の願いがありました。キトラ古墳壁画を描いた人々は、この天文図にどのような思いを託したのでしょうか。土地や民族によって死生観や宗教観は異なりますけれども、天空という自然は地上に生きる我々に与えられている数少ない共通の普遍的な存在です。キトラ古墳壁画の天文図から、時間も距離も飛び越えてしまうダイナミックな天空の存在とそれに対する人間の英知を感じました。

では、今日はこの辺で。

 

*1.筒井忠仁「キトラ古墳壁画」『特別展 キトラ古墳壁画』(展覧会カタログ)東京国立博物館, 2014, p.34.
*2.特別展「キトラ古墳壁画」東京国立博物館公式サイト〈http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1646〉(アクセス日 2014年5月11日)
*3「キトラ古墳」国営飛鳥歴史公園公式サイト〈http://www.asuka-park.go.jp/kitora/〉(アクセス日 2014年5月11日)

特別展「キトラ古墳壁画」
会 期:2014年4月22日(火) ~ 2014年5月18日(日)
会 場:東京国立博物館 本館特別5室(上野公園)
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで、土・日・祝休日は18:00まで開館)
休館日 月曜日