「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館」展 Bunkamura ザ・ミュージアム 横顔美人もいいけれどもマンテーニャに感激

2014 05 20 16 07 43

先日、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催している「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」展へ行ってきました。展覧会は、なるべく会期中の前半に行くようにしているのですが、4月&5月は忙しく、どの展覧会も会期の後半に行くのがやっとです。6月からは、いつもの調子に戻ることを願います。

さて、今回の「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館」展ですが、ポルディ・ペッツォーリ美術館は、ミラノの貴族ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリ(1822-1879)がコレクションした数々の美術作品や工芸品を所蔵している邸宅美術館です。邸宅美術館は、作品だけでなく作品が存在する空間そのものが、コレクターの美意識を反映しているので一般的な美術館とは異なった良さがあります。今回の展覧会では、ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリのコレクションの中から「ルネサンスから19世紀に至るヨーロッパ美術の系譜」をたどる展示内容となっているそうです(*1)。その中で同展覧会の主要作品として紹介されているのが、ピエロ・デル・ポッライウォーロの《貴婦人の肖像》(1470年頃)です(上の画像参照)。初期ルネサンスの中心地フィレンツェで活躍していたピエロ・デル・ポッライウォーロのこの作品は、確かに「間違いない」。しかし、今回私が個人的に気になったというよりも感動した作品は、(作品番号No.30)アンドレア・マンテーニャの《男性の肖像》(1449-1450年頃)でした。

とにかくマンテーニャの作品を日本で鑑賞出来るとは思わなかった。15世紀はフィレンツェ、16世紀はローマとヴェネツイアがイタリア芸術の中心地でしたが、当時のイタリアでは、パドヴァやマントヴァのような都市でも優れた芸術文化が生まれていました。マンテーニャは、パドヴァやマントヴァにも優れた作品を残しているのですが、とにかく素晴らしいのがパドヴァのオヴェターリ礼拝堂(エレミターニ教会内)の壁に描かれたフレスコ画(1448-1457年)です。1944年、第2次世界大戦で教会が爆撃を受け、壁画のオリジナルはほとんど現存していません。私は(白黒の写真で残されていた)そのフレスコ画の中の《刑場へ引かれていく聖ヤコブ》(1455年頃)が特に好きでして、彫版師ならではの独特な画風と遠近法を巧みに用いた斬新な構造の彼の作品は、一度観ると忘れられません(*2)。マンテーニャの素晴らしさを話すと止まらないので、今回展示されていたマンテーニャの《男性の肖像》に戻ります。

この《男性の肖像》は、身分の高い人物と思われる男性の横顔を描いているのですが、さすがマンテーニャです。主要作品として特別に展示されているわけでもないのに作品のオーラが違う。ほんの少しだけ後方からの視点で横顔を描いているような微妙な奥行き感。繊細な人物描写。マンテーニャをこんなに近くで見ていいのかと感激。同展覧会カタログの解説によると、この作品に描かれている背景の色は、実はラピスラズリ(青色の最高級の原料)なのですが、黒く変色しています(*3)。それでもシンプルな色の使い方が巧い静かなインパクトがある作品です。彼のアーティストとしての独自性は、日本美術史における「伊藤若冲」を思わせます。とんでもなく奇抜とか異端とかではなく、当時の流行にさほど離れることもないけれども画家としての独自性を保ち、想像力と表現技術の高さが見事に融合した傑作を残したという点で、マンテーニャと若冲は美術史における立ち位置が似ているような気がします。

他の作品では、イタリアの都市シエナの代表的画家ピエトロ・ロレンツェッティの(作品番号19)《聖アグネスとアレクサンドリアの聖カタリナのいる聖母子》(1342年頃)が出品されていて驚きました。海外の美術館で所蔵されているルネサンス以前のイタリア美術の作品を日本の展覧会で鑑賞出来る機会は多くありません。私的にはオススメの作品です。

毎度のことですが、展覧会の中のお宝探しは楽しいです。

なお、Bunkamura ザ・ミュージアムでの「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館」展は5月25日(日)までの開催です。その後、同展覧会は大阪あべのハルカス美術館で開催されます(2014年5月31日~7月21日)。

では、今日はこの辺で。

参考文献

*1.ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション展公式サイト「開催内容&チケット情報」
〈http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_pezzoli/index.html〉(アクセス日 2014年5月23日)
*2.画像は、ウィキペディアを参照ください(聖ヤコブは、英語名ではSt. Jamesとなります)。St. James Led to His Execution. In Wikipedia: The Free Encyclopedia.〈http://en.wikipedia.org/wiki/St._James_Led_to_His_Execution〉(アクセス日 2014年5月23日)
*3.『ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション』(展覧会カタログ) Bunkamura ザ・ミュージアム 2014, p.102.

「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」展 東京
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2014/4/4(金)-5/25(日)
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで)会期中無休
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会期中無休
美術館公式サイト
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html

「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」展 大阪
会場:あべのハルカス美術館 (あべのハルカス16F)
会期:2014年5月31日(土)~7月21日(月・祝)
開館時間:火~金 10:00~20:00(入館は19:30まで)土日祝 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(ただし7月21日は開館)
展覧会公式サイト
http://www.poldi2014.com/osaka/