バルテュス展 東京都美術館 バルテュスについて私的発見 その1

2014 06 03 13 27 52

「称賛と誤解だらけの20世紀最後の巨匠」(*1)

先日、東京都美術館で開催されているバルテュス展へ行ってきました。上記は、会場で配布されていた「バルテュス展 記念号外」(朝日新聞)の「見出し」の言葉です。バルテュスといえば、私的にはスイスのグラン・シャレに住むバルテュス(本名:バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ)と着物姿の節子夫人、お嬢さんの春美さんの華やかなライフスタイルを思い出します。確かに彼らのライフスタイルは、メディアに注目され、国内外のファッション雑誌も特集を組んできました(私の記憶では、春美さんはジュエリーデザイナーだったと思います)。今回の展覧会の会場でも篠山紀信氏が撮影したバルテュス、節子夫人、春美さんの写真が数点展示されており、セレブリティには間違いありません。しかし、今回の展覧会で、私はメディアが作り出したバルテュスを「画家バルテュス」として理解していたのではないかと思いました。「誤解」するほど理解していなかったのかもしれません。というわけで、今回は画家バルティスに関して私的発見がありました。

上の画像の展覧会ポスター(作品番号No.050《読書するカティア》1968−76年製作)のようにバルティスの作品の特徴として「少女」があげられます。バルティスにとって少女は「この上なく完璧な美の象徴」であり、少女をテーマに描いた作品が多いので「問題あり」と評価されるのも事実です。「この上なく完璧な美の象徴」とは、本当に人それぞれです(古代ギリシア時代では、知識人の年長者にとって少年が「この上なく完璧な美の象徴」のケースも多々ありました)。バルティスの描く少女達をみて「挑発的」と考えるのか「デカタン(退廃的」と考えるのか。鑑賞者をモラルの境界線ギリギリのところに連れ込むバルティスの作品の力は、バルティスの策略ではなく、単に「描きたい少女を描きたいように描く」という行為の結果だったのかもしれません。

そして、バルティスが「少女」以上に「美の象徴」と考えていたものが「光」だったことが今回の展覧会でよくわかります。どのあたりで解るのかは、展覧会に来てのお楽しみということに致しましょう(ヒント:会場内のテレビの映像)。「光」を描いたバルティス作品の中でも、今回一番好きだったのが(作品番号No.038)《窓、クール・ド・ロアン》(1951年)です。パリのクール・ド・ロアンにあったバルティスのアトリエの窓を描いた作品です。外の景色、床にみえる陽の光、一番素敵なのが、机の上の蓋付のガラスの瓶です。水か香水がわからないけれども、液体が光で輝いているようにみえます。この窓は、作品番号No.034《決して来ない時》(1949年)にも描かれています(展覧会作品解説より)が、私は断然《窓、クール・ド・ロアン》が好きです。このように清々しい作品や彼の描いた風景画を観賞していると、バルティスのアーティストとして自然に対する真摯な姿勢がみえてきました。意外でした。

続きは、また。

では、今日はこの辺で。

参考文献

*1.「バルテュス展 記念号外」朝日新聞。 

バルテュス展
東京会場
会期:2014年4月19日(土)~6月22日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
開室時間:9:30~17:30(金曜は20:00)、入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日、

京都会場
会期:2014年7月5日(土)~9月7日(日)
会場:京都市美術館
開館時間:9:00~17:00、入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月21日(月・祝)は開館)

バルティス展公式サイト
http://balthus2014.jp