特別展「台北國立故宮博物院-神品至宝-」 東京国立博物館 極上の磁器の色を楽しむ

現在、トーハク(東京国立博物館)で開催中の特別展「台北國立故宮博物院-神品至宝-」は、9月15日まで開催しています。前回、翠玉白菜(6月24日~7月7日の限定公開)についてお話しました。今日は、記憶があるうちに個人的に気になったメイン会場の作品について記します。

今回の展覧会の作品を鑑賞していて、自分の中でのキーワードは「極上」だと思いました。美術史が専門とはいえ、中国美術は学部時代より苦手です。漢字表記と英語表記がどうしても自分の中で整理出来ないのが苦手な理由で、作品とは関係ないのですが、どうも遠のいてしまいます。

その私でも立ち止まってしまうような作品が青磁でした。極上の青磁というのは、このようなものというばかりの出品作品がありました。工芸品は、技の素晴らしさを理解出来ないといけないような気持ちになってしまいますが、素直に色を楽しむのもありだと思います。

まずは、作品番号99《青磁輪花碗(せいじりんかわん)》(北栄時代 11~12世紀)。この作品が制作された汝窯(じょよう)は、宋時代の中国河南省臨汝県にあった、陶窯(すえがま)とされています(ちなみに陶器を焼いていた窯が「陶窯」)。この汝窯(じょよう)の青磁は、極上とされております。この作品の魅力は、とにかく繊細な青色だと思います。空をみつめているような気持ちになってきます。工芸品なのに固さを感じない柔らかな出来が、まさに青磁技術の極みです。この他に、作品番号102《青磁輪花鉢(せんじりんかはち)》(南宋時代 12~13世紀)も素敵でした。

そして、今回の展覧会で楽しめる極上の色は、青ばかりではありません。作品番号104《白磁雲龍文大瓶(はくじうんりゅうもんたいへい)》は、甜白(てんぱく)と呼ばれる白い磁器です。景徳鎮(けいとくちん)にある陶窯である景徳鎮窯(けいとくちんよう)で、明時代・永楽年間(1403~1424)に制作されました(*1)。もちろん「極上の白色」でした。そして「極上の桜色」が、作品番号161《臙脂紅碗(えんじこうわん)》です。これもまた、白磁雲龍文大瓶と同じ陶窯である景徳鎮窯で制作されています。年代は、清時代・雍正年間(1723~1735)です(*2)。

これらの作品を鑑賞していると、極上の色とは、こういうものなのかと思います。磁器の色は、決して一つとして同じものはありません。自然が人の手によって化学変化を起こして生まれる磁器の色の変化は、奇跡のようなものです。その数々の奇跡を比較して勝手に「極上」と評するのも傲慢のような気もします。一方で多くの人々によって「極上」いわれるものを自分の目に焼き付けておくことは無駄にはなりません。

では、今日はこの辺で。

*1.永楽(えいらく)は明王朝の元号の一つ。
*2.雍正(ようせい)は清王朝の元号の一つ。

(東京会場)
特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」
会 期:2014年6月24日(火) ~ 2014年9月15日(月・祝)
会 場:東京国立博物館
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
*ただし、会期中の金曜日は20:00まで、土・日・祝休日は18:00まで開館)
休館日:9月1日(月)、9月8日(月)
*ただし、8月25日(月)は特別展会場のみ開館(本館、東洋館、法隆寺宝物館、平成館1階は閉室)。
混雑状況は、同展覧会twitterをご参照ください。https://twitter.com/taipei2014tokyo

(九州会場)
特別展「台北 國立故宮博物院 – 神品至宝 -」
会 期:2014年10月7日(火)~2014年11月30日(日)
会 場:九州国立博物館 
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:10月27日(月)、11月4日(火)、11月10日(月)、11月17日(月)