帰りのフライトが夕方なので、最終日、午前中の空き時間をどのように使うか考えました。朝一番は、「幸運の子豚」。次は、サン・マルコ美術館(修道院)へ再び行くことにしました。お恥ずかしながら、見忘れた名画が一つだけあったのです。それは、ドメニコ・ギルランダイオの《最後の晩餐》(1479-1480)です。
《最後の晩餐》というとミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院に描かれた、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品(1495-1498)が有名ですが、ダ・ヴィンチがそれを制作する前より、フィレンツェでは、カスターニョやギルランダイオによって描かれていました(特にギルランダイオは5年間に4作の《最後の晩餐》を描いています)。
新約聖書の名場面の一つである《最後の晩餐》ですが、「晩餐」をする場所というとことで、当時は修道院の食堂の壁に描かれることが多かったのです。カスターニョは、サンタッポローニア修道院の食堂の壁に、ギルランダイオは、サン・マルコ修道院(現在サン・マルコ美術館)とオンニッサンティ教会の修道院の食堂の壁に《最後の晩餐》を描きました(同じくダ・ヴィンチは、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描きました)。
さて、サン・マルコ修道院の食堂は、現在同美術館のミュージアムショップになっています。言い訳になりますが、ミュージアムショップの壁にギルランダイオの《最後の晩餐》が描かれているとは想像出来ませんでした。この日、私がこの壁画の前に立っている時は、開館時間(8時15分)直後で、ショップもまだ準備中でした。というわけで「食堂」の中は私一人。何の柵もありません。こんなに近くで見学して良いのかしらと心配になるほどです。