マドリード、4日目、ティッセン・ボルネミッサ美術館、ムリーリョ、《聖母子とヴィテルボの聖ローザ》

MURILLO La Virgen y el Nino con Santa Rosalia de Palermo 296 1968 2 3000pix 1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティッセン・ボルネミッサ美術館、個人的に気になった作品を紹介しております。

スペインといえば、やはり外せないのがムリーリョ(1617−1682)です。画像は、ムリーリョの《聖母子とヴィテルボの聖ローザ》(1670年頃)です。

17世紀スペインの画家であるムリーリョは、セビーリャで活躍し、スルバランから影響を受けたと考えられています。品の良い優しい雰囲気の宗教画を得意としています。人物の内面がにじみ出るような描写を得意とし、彼の描く慈悲にあふれた数々の聖母マリア像は、「鉄板」として評価されてきました。一方で、ルーヴル美術館所蔵の《乞食の少年》(1645-1650年頃)のような道端の子供を描いた作品など、いわゆる「風俗画」も描いていた実力派です。

この《聖母子とヴィテルボの聖ローザ》は、制作年からムリーリョの成熟期に描かれたと推測されています。聖母マリアと幼子イエス・キリストが、聖ローズを祝福しています(あるいは、ねぎらっているようにも見えます)。聖ローズの持物(アトリビュート)である、薔薇の花が彼女の手にあります。空には、四人の天使達、奥には4人の乙女達が描かれています。彼女達の表情は、穏やかですが、それぞれ手に椰子の枝 (殉教者の持物)を持っているので、彼女達が殉教者であることがわかります。

となると聖ローズも信仰のために亡くなったのでしょうか。そう推測したいところなのですが、彼女については、13世紀に存在した敬虔なキリスト教徒の女性ということ、彼女が起こした奇跡のエピソード以外、あまり確かな資料がありません。どちらにしても、聖母マリアと幼子イエス・キリストの前に跪く彼女の表情からは、何かを乗り越えてきた強さを感じます。

マドリード、4日目、ティッセン・ボルネミッサ美術館、スルバラン、《聖カシルダ》、部分

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昨日の続きです。

画像は、スルバランの《聖カシルダ》の部分です。イスラム教の王の娘、聖女カシルダが身につけている衣装の裾部分ですけれども、その素晴らしい描写から、スルバランの力の入れようが想像出来ます。

そういえば、スルバランの《聖母マリアの少女時代》(1660年頃)を、2017年、六本木・森アーツセンターギャラリー「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」(2017年3月18日〜6月18日)で見たことを思い出しました(その後、2018年1月まで名古屋、神戸を巡回)。その《聖母マリアの少女時代》も明暗法を用いていましたけれども、《聖カシルダ》と比較すると、優しい印象の作品でした。しかも、同展覧会で展示されていたムリーリョの《幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ》(1660年頃)を見ながら、スペインのバロック期の典型的な宗教画だなあと思った記憶があります。

日本では、同じくセビーリャで活躍していたムリーリョの方が馴染みがあるかもしれません。ただ、ティッセン・ボルネミッサ美術館で出会った《聖カシルダ》は、個人的に今まで見たことのないスルバランの作品だったので新鮮な驚きでした。本当に芸術は、奥が深いです。