ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ 《東方三博士の礼拝》 〜 アートの聖地巡礼(イタリア) ACJ版

今日は、アートの聖地の一つ、フィレンツェのウフィツィ美術館で「もう一度見たい作品」、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ(c. 1370/1385?-1427)《東方三博士の礼拝》(1423)について。

実は、noteで「シモネ・マルティーニ《受胎告知》〜 アートの聖地巡礼(イタリア)」の記事を書いていて思い出した。ドイツからイタリアへ飛んでいるが、これもありかとお許しくだされ。

この作品は、フィレンツェにあるサンタ・トリニタ聖堂内のストロッツィ家の礼拝堂のために制作された。そう、トロッツィ家といえばメディチ家のライバルだ。

画面中央の赤いブーツを履いた若年の博士の後方にストロッツィ家のメンバーが描かれているらしい(*1)。なるほど、(青い衣を着ている)聖母マリアの膝の上にいる幼子イエス・キリストよりも、画面中央の赤いブーツに目がいくわけだ。

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作品の主テーマである《東方三博士の礼拝》が描かれているパネルの下に小さく三つの場面が描かれているのが見えるだろうか。左から《キリストの降誕》《エジプトへの逃避》《主の奉献》で、イエスの幼少期の物語(新約聖書)を左から右へ説明する形になっている。

イタリアのファブリアーノ出身のジャンティーレだけれども、美術史の様式では、北方ヨーロッパとイタリア美術が融合されているスタイル、「国際ゴシック美術」(1380年頃~1430年頃)に属する。ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの《東方三博士の礼拝》(c.1455) とシモネ・マルティーニの《受胎告知》(1333)を融合させた感じというのかな(*2)。

noteからの続きは、こちらから

画面中央の赤いブーツの博士の足下に注目する。テンペラ(卵と顔料を混ぜて描く)だから油彩画ほど透明感はない。それにしても見事な描写力だな。豪華な博士の衣装に注目。

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赤いブーツの足下には、器具を外している従者がみえる。近くに馬が描かれているので、乗馬をする際にブーツにつける道具、拍車(はくしゃ)と推測される。美しくて装飾具のような当時の工芸の技。そういえばエルメスも馬具を制作していた工房からはじまった。それにしても、私は、こういった作品と関係ないようなディーテイルが気になるようだ。

(全ての画像は著者が撮影した、イタリア、フィレンツェ、ウフィツィ美術館所蔵、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ、《東方三博士の礼拝》)。
NOTE:

*1.東方の三博士は、若年、壮年、老年の博士として描かれる。

*ウフィツィ美術館を含むフィレンツェの主要な美術館&教会を訪ねた「フィレンツェの私的、アートの旅」については、noteで作ったこちらのムック(合計135本の記事を含む)をご参考までに。なお、上記で述べているウフィツィ美術館所蔵のシモネ・マルティーニ《受胎告知》とジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの《東方三博士の礼拝》については、マニアックすぎると思いムックからあえて外した。しかしどちらも「西洋美術史」の教本には必ず取り上げられるはずの名品。