画像は、スカルツォ修道会修道院の回廊の壁にアンドレア・デル・サルト(1486-1531年)が描いた《洗礼者ヨハネの生涯》(1526年)の一場面です。木の枝で作った十字架(のような杖)を持っているのが洗礼者ヨハネです。新約聖書によるとヨハネとイエスの母親同士が親戚でした。ちなみに十二使徒の聖ヨハネは「洗礼者ヨハネ」とは別人です。
洗礼者ヨハネは、イエス・キリストよりも年上で一足早く神の教えを説いていました。ヨハネが信者達に洗礼を授けているヨルダン川に、イエスが現れます。ヨハネは、自分よりも大いなる人物であるイエスに洗礼を授けることを躊躇しますが、最終的にはイエスはヨハネより洗礼を受けます。サルトの作品では、ヨハネに水をかけてもらい、川の中に座っている男性がイエス・キリストと推測されます。モノトーンの場面の中、ヨハネの持つ十字架が唯一光を放っているように見えます。
そういえば、ウフィツィ美術館に所蔵されているヴェロッキオの《キリストの洗礼》も同じ場面を描いていましたね。